相場変動もFRBは12月利上げへ 来年はペース減速か-来年以降の金利見通しに不透明感

足元で金融市場が不安定な展開となっていることを受けて、一部では米連邦準備制度理事会(FRB)に対し利上げ中断を求める声が出ている。20日には株や社債への売りが加速したものの、FRBが来月、利上げ見送りを決める公算は小さいもようだ。

FRB当局者はここ数日、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシス・ポイント(bp)の追加利上げに踏み切る考えを示唆している。だが最近の相場急落で、来年以降の金利見通しを巡っては不透明感が高まっている。

9月公表のFRB当局者の金利見通しでは、来年の利上げ回数について2回、3回、4回の3つの意見がほぼ拮抗(きっこう)している。

12月に公表される最新の見通しでは、市場の混乱が続く、または当局者の来年の成長・インフレ見通しが後退すれば、来年の利上げ回数予想を引き下げる当局者が出てくるかもしれない。

FRBが12月の利上げを見送るには、相場急落が米景気見通しのより広範な悪化を反映したものだと示す必要があるだろう。足元の経済指標は、金利動向に敏感な住宅市場を除いては、減速を示すものはほとんどない。とりわけ雇用関連では引き続き堅調な指標が相次いでおり、FRBが利上げ停止を正当化することは難しいとみられている。

ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は19日、「金利はなお低水準」にあるとし、緩やかな利上げを継続する考えを示した。

だが投資家の間では、最近の株・社債売りは、米国および海外経済がFRB当局者の想定以上に弱含んでいる前触れであり、この環境での利上げは危険との見方も出ている。

かつて著名投資家ジョージ・ソロス氏のヘッジファンドの運用担当者だったスタンレー・ドラッケンミラー氏は「私なら利上げを中断し、われわれが認識していないことを市場が知っているのか見極める」と話す。同氏はこれまでのFRBの利上げ消極姿勢や景気刺激策を強く批判してきた人物だ。だが、足元の相場動向には数多くの問題の兆候が見られるとし、来月の利上げ見送りの理由になると指摘する。

「状況が安定し相場が再び上昇すれば、FRBは1月に利上げすることが可能だ」とし、来月の金利決定について、FRBは予断を持つべきではないと語る。「私はタカ派だが、この環境では利上げしない」

FRBにとって状況をさらに複雑にするのが、利上げ停止を求めるドナルド・トランプ大統領の存在だ。FRBがここで利上げを停止すれば、政治的圧力に屈したとも解釈されかねない。 そうなれば、物価安定の責務に関するFRBの信認を損ねてしまう。

トランプ大統領は20日にも改めてFRBの利上げをけん制。「FRBが他の何よりも問題」と述べている。

雇用市場に代表されるように、米経済は好調のように見えるが、一方で金融市場は気掛かりなシグナルを発している。小売銘柄はここにきて、とりわけ激しく売り込まれており、2018年の力強い景気拡大を支えてきた個人消費の失速を示している可能性がある。小売り大手ターゲットと百貨店チェーンのコールズは20日、決算発表を受けて、それぞれ11%、 9%急落した。

社債と米国債の利回り格差であるクレジットスプレッドもこのところ急拡大している。ブルームバーグ・バークレイズのデータによると、ジャンク級(投資不適格級)米社債の米国債利回りに対する上乗せスプレッドは19日、平均4.18ポイントとなり、数年ぶりの低水準をつけていた10月初旬の3.03ポイントから上昇している。

ただ、強く警戒するほど高い水準ではない。2016年の市場混乱時につけた8ポイント、金融危機時につけた約20ポイントの水準は依然、大きく下回っている。

ジェローム・パウエルFRB議長は先週、足元の相場急落により、金融環境の引き締まりを通じて成長を下押しする恐れがあると認めたが、FRBに政策変更を迫る十分な要因だとは示唆しなかった。

市場動向は、金利を決定する上で「検討材料の1つ」と指摘。さらに クレジットスプレッドの動向を注視する考えを示し、「クレジットスプレッドが低水準にあると、時に急上昇することがあり、そうなればマイナスの影響をもたらす」と述べた。

議長は来週、ニューヨークで講演を予定しているほか、12月5日には議会証言を行う。市場の混乱が続けば、FRBの見通しへの影響を巡り、発言に注目が集まりそうだ。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP
Translate »